07.04
2015 CD
2015 CD
ドミトリー・キタエンコ、「ラフマニノフ:交響曲第2番、ヴォカリーズ」リリース!
『ラフマニノフ:交響曲第2番、ヴォカリーズ』
[Oehms]
ラフマニノフ:交響曲第2番、ヴォカリーズ
キタエンコ&ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団、バルナ=サバドゥス
名曲「ヴォカリーズ」はカウンターテナーが歌っています!
ラフマニノフらしい旋律美を堪能できる名曲の組み合わせ。アンナ・モッフォなど、ソプラノによる陶酔的な歌唱で知られる名曲「ヴォカリーズ」は、ここではカウンターテナーで歌われることで低音側にシフト、強弱やテンポの幅も大きくつけられ、よりリアルな抒情性のようなものが際立っているのが興味深いところです。歌っているのは近年評価の高まってきているルーマニア出身のヴァレル・バルナ=サバドゥス。ここでもよく響く魅力的な中低音と品良く美しい高域を駆使して、細部まで濃やかな表現を聴かせています。録音会場であるスタジオ・シュトルベルガー・シュトラーセの音響も優秀です。
交響曲第2番は、親しみやすい楽想で構成された人気交響曲。キタエンコは1984年にモスクワ・フィルとこの曲を録音していましたが、今回はそれから約30年を経ての再録音ということで、テンポや楽器バランス、歌いくちの濃やかさなどあらゆる面で余裕のある演奏となっており、細部の表現を大切にした微妙なテンポの揺らしや絶妙なデュナーミクなど、第1楽章序奏部から実に魅力ある演奏に仕上がっています。
ヴァイオリン両翼型楽器配置ならではの各声部の透明度の高い響きも効果的で、大音量で聴いても響きが団子にならないため、この交響曲の魅力が旋律美だけでなく、各種モティーフを駆使した情報量の多いシンフォニックなものにあることを見事に表現しています。
今回のケルンのフィルハーモニーでの録音はマイク・ポジションが適切なせいなのか、ディテールがしっかりしており、その情報の多さと直接音と間接音のバランスの良さから、音楽のちょっとした変化も十分に聴きとることができます。
【キタエンコ&ギュルツェニヒ管】
レニングラード包囲戦の前年、1940年にレニングラードに生まれたロシアの名指揮者ドミトリー・キタエンコは、生地のレニングラード音楽院を経てモスクワ音楽院で学び、さらにウィーン音楽アカデミーでハンス・スワロフスキーに師事して指揮の腕を磨いた経歴の持ち主。
その後、14年に渡ってモスクワ・フィルの音楽監督を務めたキタエンコは、やがて西側に拠点を移し、フランクフルト放送響の首席なども務め、各地のオーケストラを指揮して着実に名声を高めていきます。
2010年にはケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の名誉指揮者に指名されていますが、これは数多くの演奏会やレコーディングでの成功を受けてのもので、そのコンビネーションの素晴らしさはショスタコーヴィチやプロコフィエフ交響曲全集、チャイコフスキー交響曲全集でも明らかでした。
キタエンコの芸風は、ロシア的な情感を無用に前面に出したりすることなく、作品に対してあくまでも誠実にアプローチするというものですが、このラフマニノフ・シリーズでは、そうした姿勢で一貫しながらもパワフルで豊かな表情を湛えた演奏に仕上がっているのがポイント。
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の暗めの音色を基調とした重厚なサウンドも作品の雰囲気に合致しており、優秀な録音とあわせてシリーズの魅力をさらに強化してくれています。(HMV)
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op.27
ラフマニノフ:ヴォカリーズ 嬰ハ短調 Op.34-14*
ヴァレル・バルナ=サバドゥス(カウンター・テナー)*
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
ドミトリー・キタエンコ(指揮)