ボロンは、オペラ、オーケストラ・コンサートの両面で、国際的に評価の高い、きわめて多彩な指揮者である。スタンダード・レパートリーに加えて、演奏機会の少ない19世紀の作品、マスネの『サンドリオン』やフォーレの『ペネロープ』、またルーセル、ジョセフ・ライラントのシンフォニーなどもレパートリーにしている。
　1965年パリ生まれ。同時代音楽の演奏に力を注ぎ、エマニュエル・ヌネス、マウリシオ･カーゲルの作品など、多くの初演を手がけてきた。
　ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院でアーノンクール、ギーレンのもとで指揮を学び、ザルツブルク音楽祭にて、ブルーノ・マデルナのオペラ『サテュリコン』を指揮してデビューを飾る。
　94～98年、フランダース交響楽団の首席指揮者を務め、数々のコンサートツアー、レコーディングを手がけた。98～2003年は、ケミニッツ歌劇場の副音楽監督を務めた。またテル・アヴィヴ、クラコフ、ルツェルン、アムステルダムの歌劇場、ベルリン州立歌劇場や、シュトゥットガルト放送響、ベルリン・ドイツ響、ベルリン放送響、ハーグ・レジデンティ管、ルクセンブルク・フィル、トリノ放送響、リヨン国立管などに定期的に出演している。
　2002年にはフォーレのオペラ『ペネロープ』のドイツ初演、およびシカネーダーによる『魔笛』第2部を台本とするペーター・ヴィンターのオペラ『迷宮』の世界初演を手がけた。『迷宮』は、ボロン自身がアーティキュレーションやデュナーミクの指示を加えて編集したスコアによって演奏された。
　06/07および07/08シーズンには、ライプツィヒ放送響、SWRフライブルク響、シュトゥットガルト放送響、ベルリン・コンツェルトハウス・オーケストラ、ルクセンブルク・フィル、ベルン響などに出演。フランス、ノルウェイ、スイス、スペインなどに招かれ、マーストリヒト・オペラで『セビリャの理髪師』を指揮した。
　07年3月にSWRバーデン=バーデン＆フライブルク響とのドイツツアーで、ボロンが企画し、指揮したプロジェクトは、「Prix Italia 2007」にノミネートされた。
　2008年夏には、ザルツブルク音楽祭で2つのコンサートを指揮することになっている。また08/09シーズンから、フライブルク歌劇場の音楽監督に就任する。