トーマス・ザンデルリンク Thomas Sanderling
次回来日
2024年10月
プロフィール
トーマス・ザンデルリンクは、2017年夏から2022年3月までノヴォシビルスク・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督を務めた。
高名な指揮者父クルト・ザンデルリンクがサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団の指揮者を務めており、サンクトペテルブルクで育つ。24歳でハレ歌劇場の音楽監督に任命され、20代半ばには、すでにドレスデン・シュターツカペレやライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ベルリン・コーミッシェ・オーパーなどを指揮している。
ショスタコーヴィチ最後のオーケストラ作品である『ミケランジェロの詩による組曲』(オーケストラ伴奏版)を世界初録音(バス:ヘルマン・クリスティアン・ポルスター、ベルリン放送交響楽団)したことがきっかけとなり、ヘルベルト・フォン・カラヤンとレナード・バーンスタインにアシスタントとして起用されることになる。
1980年代初頭には、ベルリン国立歌劇場の常任客演指揮者となり、ウィーン国立歌劇場にもデビューして『魔笛』(「謎に満ちたモーツァルト...驚嘆すべき上演!」Wiener Kurier紙)と『フィガロの結婚』を指揮。ロンドン交響楽団とのショスタコーヴィチとチャイコフスキーの録音でOPUS KLASSIK Awardを受賞するなど、多くの賞を受賞している。
これまでにボルティモア交響楽団、バイエルン放送交響楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、ダラス交響楽団、ハレ管弦楽団、NDRエルプ・フィルハーモニー管弦楽団(旧ハンブルク北ドイツ放送交響楽団)、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ピッツバーグ交響楽団、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団、ケルンWDR交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、モントリオール交響楽団、ベルリン・ドイツ・オペラ、バイエルン国立歌劇場、ハンブルク州立歌劇場、マリインスキー劇場、フィンランド国立歌劇場、フェニーチェ劇場のような世界の優れたオーケストラとオペラカンパニーを数多く指揮してきた。
またDGG(ショスタコーヴィチの録音がグラモフォン・エディターズ・チョイスに)、BIS(2つのカンヌ・クラシック・アウォードを受賞)、Chandosなど多くのレーベルに録音している。ソニー・クラシカルでは、日本のいくつかの音楽専門誌でCD of the Monthに選ばれた(神尾真由子・ハレ管弦楽団とのチャイコフスキーとプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲)。サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団とのマーラーの交響曲第6番は、Tony DugganのマーラーCD批評で基点となる録音に選ばれたほか、カンヌ・クラシック・アウォードも受賞した。また、フィルハーモニア管弦楽団とのブラームス交響曲全集の録音は世界的成功を収めている。この他、アルベリク・マニャール、カール・ヴァイグル、パウル・クレツキ、タネーエフ他の作品の録音も積極的に行っている。
トーマス・ザンデルリンクは、エフゲニー・スヴェトラーノフの招きでロシア国立交響楽団を指揮し、モスクワ・デビューを飾っている。このコンサートに来場していたショスタコーヴィチは感銘を受け、若き指揮者の楽屋を訪ねた。後日彼はトーマスを自宅に招き、自ら交響曲第13番と第14番のスコアを手渡し、ドイツ初演を託した。その初演にあたってショスタコーヴィチは歌詞のドイツ語訳を要望した。
その後、長年にわたってショスタコーヴィチと親交を深めたトーマスは、現在もイリーナ・ショスタコーヴィチ夫人と緊密な共同作業を行っている。散逸したものと思われていた『6つのロマンス』(詩:ウォルター・ローリー、ロバート・バーンズ、ウィリアム・シェイクスピア)の最初のオーケストラ伴奏版(op.62a)が近年発見され、その手稿のコピーが夫人から与えられた。彼女の依頼により、ザンデルリンクは世界初演にとりかかる。この『英国詩人による6つのロマンス』は彼の編集による英語版で、また『ミケランジェロの詩による組曲』はイタリア語で、ジェラルド・フィンリー(バスバリトン)、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団との演奏がオンディーヌによって録音されている。この世界初演のライヴ録音は、The Pizzicato Supersonic Awardをはじめ、数々の国際的評価を受けている。
これらに先立つバイエルン放送交響楽団との、同『6つのロマンス』(後の小オーケストラ伴奏版op.62/140)の英語版と『イギリス民謡』、そして『交響曲第10番』の演奏会は録音され何度も放送された。
また、ドレスデン・シュターツカペレと共にショスタコーヴィチ音楽祭で、これも最近見つかった歌劇『鼻』と同時代の素晴らしい3つの断片を初演したのだが、これは作曲家の未亡人イリーナから与えられた手稿を元に彼が再構築したものである。
近年はヴァインベルクの作品を数多く手がけており、ロイヤル・リバプール・フィルハーモニー管弦楽団と『レクイエム』を世界初演。2013年には、マンハイム歌劇場で彼の最後のオペラ『白痴』の世界初演を指揮した。2015/16年シーズンには、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で同オペラのロシア初演を指揮した。『交響曲第21番』は、シュトゥットガルト州立管弦楽団とドイツ初演。その他、『交響曲第7番』などはドレスデン・シュターツカペレとの共演でドイツ初演を成功させている。
最近の主な活動としては、2021年10月6日のベルリン・ドイツ交響楽団とのバビ・ヤール虐殺80年特別演奏会、フィルハーモニア管弦楽団とのストラヴィンスキーとシベリウスの録音(Accentus)での高評価、第二代音楽監督・常任指揮者を務めた大阪交響楽団への再登壇、ドレスデン・シュターツカペレおよびベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団との契約などがあげられる。2022年春には、ドルトムント・フィルハーモニー管弦楽団、エストニア国立交響楽団、ザールラント州立管弦楽団、シュターツカペレ・ハレを指揮。ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団とのウクライナのための特別コンサート(ヴェルディ『レクイエム』)はテレビ放映される予定である。
コンサート情報
日時・会場 | コンサート名・お問い合わせ |
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2024/10/4(金)19:00
ザ・シンフォニーホール |
第275回 定期演奏会 |
ディスコグラフィー
ミケランジェロ組曲(イタリア語版)、6つのロマンス、他
ショスタコーヴィチ:6つのロマンス op.62a/アニー・ローリー(ショスタコーヴィチによる管弦楽版)(1944、世界初録音)/ミケランジェロの詩による組曲 op.145a(イタリア語歌唱)
ジェラルド・フィンリー(バス・バリトン)
トーマス・ザンデルリング指揮
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
[Ondine]
ウストヴォルスカヤ/シルヴェストロフ/カンチェリ:ピアノと管弦楽のための作品集
ガリーナ・ウストヴォリスカヤ(1919-2006):ピアノ、弦楽オーケストラとティンパニのための協奏曲(1946)*
ヴァレンティン・シルヴェストロフ(1937-):4つのポストリュード(2004)**
ギヤ・カンチェリ(1935-):弦楽オーケストラ、ピアノとパーカッションのための《SIO》(1998)**
シルヴェストロフ:賛歌 2001
*オリジナル版にて録音 **世界初録音
エリザヴェータ・ブルーミナ(ピアノ)
ユルゲン・シュピチュカ(ティンパニ&パーカッション)
トーマス・ザンデルリンク指揮
シュトゥットガルト室内管弦楽団
[Grand Piano]