フョードル・ルディン Fedor Rudin

Fedor Rudin

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プロフィール

 2023年、“ヴァイオリンの魔法”と題したプログラムでベルリン・フィルハーモニーへデビュー。2018年パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール、および2014年エネスク国際ヴァイオリン・コンクールで共に第2位に輝き、最高峰のヴィルトゥオーゾとして聴衆を魅了し続ける。旺盛な好奇心と豊かな想像力、オープンマインドな人間性を持つ、現代におけるもっともエキサイティングな若き音楽家の一人である。
 1992年、著名な前衛作曲家エディソン・デニソフの孫としてモスクワに生まれ、パリで育つ。13歳よりケルンでザハール・ブロンに師事し、その後オーストリアに移り、ザルツブルク・モーツァルテウムでピエール・アモイヤルに、グラーツでボリス・クシュニールに師事。2019年に当時最年少でウィーン国立歌劇場およびウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任し、現在はウィーンを拠点に再びソリストとして演奏活動を展開させる。
 30代に入りさらなる躍進を遂げ、数々の大舞台へデビューを果たす。ベルリン・フィルハーモニー、ハンブルク・エルプフィルハーモニー、ニューヨークのカーネギー・ホールのほか、プラハ、パリ、モントリオールにソリストとして登場し、ザルツブルク音楽祭やシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭へ招聘されている。近年はウラディーミル・ユロフスキー、キリル・カラビッツ、トマーシュ・ネトピル、ペトル・ポペルカ、ロレンツォ・ヴィオッティ等のタクトでベルリン放送交響楽団や南西ドイツ放送交響楽団等のオーケストラと共演している。ボーンマス交響楽団とのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はBBCで放送された。古典的な作品から、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第2番やエディソン・デニソフといった前衛作品まで、幅広いレパートリーを持つ。
 室内楽では、ピアニストのボリス・クスネツォフ、イゴール・レヴィット、フローリアン・ノアック、チェリストのユリア・ハーゲン、イヴァン・カリズナ、ブリュノ・フィリップのほか、パヴェル・ハース・クァルテットやシグナム・サクソフォン四重奏団と共演を重ねている。2022年からはフランスの室内楽音楽祭「Rencontres Musicales de Chaon」の芸術監督を務める。
 指揮をウィーン国立音楽大学でシメオン・ピロンコフとウラディーミル・キラジエフに師事し、テオドール・クルレンツィスやフィリップ・ジョルダンのアシスタントを務める。オーケストラの弾き振りのほか、指揮者としてウィーン放送交響楽団やイエナ・フィルハーモニー管弦楽団に客演し、2022年にはビャウィストクで《ウエスト・サイド・ストーリー》を指揮しオペラ・デビューを果たした。2023年よりウィーン国立音楽大学で教授としてオーケストラ教育の指導にあたる一方、ヴァイオリニストとしてのソロ活動を行っている。
 また飛行機の操縦にも情熱を注いでおり、興奮と冷静な頭脳を持ちつつ全体像をクリア見るという実践的方法には音楽作りと共通するところがあり、それぞれに自由と挑戦を楽しんでいる。その表現豊かな音楽解釈は楽譜の徹底的な分析に根差したもので、聴衆を圧倒させるのではなく、感情と知的な刺激に満ちた音楽の旅路に誘うことを目指しながら、作曲家の想いを聴き手に伝えることを徹底している。コンサートでは5か国語を操りながら、日々生徒たちに伝えていることの原則のひとつは、演奏の時に音楽の修辞学を方向付けることである。
 歴史に基づいた奏法を幅広く学んでいるが、モーツァルトのニ長調K.271aやハイドンのイ長調など、その作者をめぐる疑念のためにあまり演奏されることのないヴァイオリン協奏曲も意図的に取り上げている。使用楽器はカナダのドラモンヴィルにあるCANIMEX社貸与のストラディヴァリウス「ex ヴィオッティ」(クレモナ、1712年製作)。